依存

アルコールが本人や家族に与える影響について

こんにちは、tatsuです。

大学院では臨床実習と修士論文が始まり、忙しい日々を過ごしています。毎週クリニックに7時間半時間を過ごし、家では毎週2時間のスーパーヴィジョン(大学院の先生からの指導・助言)をスカイプで受けています。実践トレーニングは楽しいのですが、非日常的な環境に身を置いていると疲れてしまいます。心理職として働くのであれば、セルフケアは本当に大切なことなんだと実感します。

今、僕は実習先で依存症について学んでいます。実習先で患者さんから聞いた話は守秘義務の関係上紹介できませんが、僕が学んだことや感じたことは紹介したいと思います。

アルコール依存症はとても怖い病気です。アルコールは以下のような3つの怖さがあります。

1. アルコールは身体を破壊する
2. アルコールはお金を奪う
3. アルコール依存症の家庭は暴言・暴力の応酬である。

アルコールの飲みすぎは肝臓だけでなく、脳も破壊します。大量の飲酒で脳が萎縮し、物忘れをするようになったり、感情をコントロールすることができなくなります。脳梗塞のリスクが高まり、通常の人よりも寿命が短くなります。

アルコール依存症になってしまうとお金がどんどんなくなっていきます。お酒を飲まないと不安で、その不安を解消するために飲み続けます。「このままではいけない。もうやめよう。」と思ってもやめられずにお酒を飲み続けてしまい、気づけば月に数十万円使ってしまうという、そういう病気です。お金の問題は本人だけでなく家族にもダメージを与えます。

アルコール依存症の家庭は暴言・暴力の応酬であると学びました。家族はアルコール依存症者を厄介者扱いすることがあり、殺してやりたいという感情にまで発展して暴力をすることがあります。アルコール依存症者は自分が大切にされていないと感じ、暴言・暴力がより強くなることもあるそうです。

お酒を飲むと感情をコントロールすることができなくなります。お酒を飲んで暴言・暴力をしてしまうのは、もともと自分の中に「怒り」があるからです。その怒りをカウンセリングで取り扱う必要があります。怒りの奥には寂しさがあり、寂しさが癒されるとその人の人生はより豊かになると思います。

アルコールって良いことがないですね・・・。僕は実習先で勉強していてそう思います。

アルコール依存症の患者さんにとってはテレビや電車内のアルコールの広告・宣伝は誘惑でしかありません。僕はアメリカに住んでいた経験がありますが、テレビでビールの宣伝を見た記憶がないし、ニューヨークの地下鉄内でアルコールの宣伝が流れたり広告が貼られているのを見た記憶がないです。これは未成年を犯罪から守るためであったり、もしかするとアルコール依存症の方々を守るためかもしれません。日本もそういう対応をしてほしいと勉強をすればするほど思います。

アルコール依存症の方は自分がアルコール依存症だということになかなか気づけません。最後に診断基準を紹介してこの記事を終わりたいと思います。

アルコール使用障害の診断基準

以下のうち少なくとも2つが12ヶ月以内に起こることにより示される。
1.アルコールを意図していたよりもしばしば大量に、または長期間にわたって使用する。
2.アルコールの使用を減量または制限することに対する、持続的な欲求または努力の不成功がある
3.アルコールを得るために必要な活動、その使用、またはその作用から回復するのに多くの時間が費やされる
4.渇望、つまりアルコール使用への強い欲求、または衝動
5.アルコールの反復的な使用の結果、職場、学校、または家庭における重要な役割の責任を果たすことができなくなる
6.アルコールの作用により、持続的または反復的に社会的、対人的問題が起こり、悪化しているにもかかわらず、その使用を続ける
7.アルコールの使用のために、重要な社会的、職業的、または娯楽的活動を放棄、または縮小している。
8.身体的に危険な状況においてもアルコールの使用を反復する
9.身体的または精神的問題が、持続的または反復的に起こり、悪化しているらしいと知っているにもかかわらずアルコールの使用を続ける
10.耐性、以下のいずれかによって定義されるもの:
(a)中毒または期待する効果に達するために、著しく増大した量のアルコールが必要
(b)同じ量のアルコールの持続使用で効果が著しく減弱
11.離脱、以下のいずれかによって明らかとなるもの:
(a)特徴的なアルコール離脱症候群がある
(b)離脱症状を軽減または回復するために、アルコールを摂取する。

出典元:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル

上記の診断基準に当てはまっていたら、直ちにアルコール依存症の治療を受けに病院に行ってください。

アルコール依存症の方々が、今日一日お酒を飲むことなく幸せな時間を過ごすことができますように。

 

tatsu