トラウマ

トラウマと回復

こんにちは!tomoです。

日本各地で桜が開花し始めました。1年に1度広がるピンク色の世界。柔らかさや優しさを感じる時期ですね。

 

さて現在大学院2年目となりますが、通常であれば来年が最終学年です。

通常であればというのは、最終学年では10か月の実習と修論を行うので、一緒にやってしまえば3年で終わるシステムになっています。しかしどっちも超ハードで深いので、どうしようかまだ考え中です。

どちらにせよ、次の9月には修論を書き始めていることでしょう。今それに向けて少しずつ準備しているところです。まだまだ勉強中ですのでご容赦いただきたいと思いますが、その内容について少し話してみたいと思います。

 

私の興味の中心は、「トラウマ・PTSDと脳の関係」です。

自分の人生を振り返ってもトラウマとのつながりが大きいため、いかに人間がトラウマとなるような恐怖体験や傷つきを経験した後、脳を含む身体に影響が及ぶか、またその回復について、とても興味が湧いています。

 

1.脳はダメージを受ける

まず驚くことは、人はトラウマを経験すると「脳にダメージが及ぶことがある」ということです。これは最近の脳画像による研究の結果わかってきたことで、様々な対象や療法・症状などで研究が積み重ねられています。

脳は、人間の記憶や感情など様々な高度な機能をつかさどっている部分です。この脳は環境によって大きく影響を受けるそうです。特に幼少期は脳の発達にとって重要な時期です。この時期に大きなトラウマを受けると、その時期や辛い出来事の種類などに応じて、脳がダメージを受けたり、委縮するということが起こることがわかっています。

トラウマといっても、命に危険があるようなひどい経験だけのことではありません。日常的に傷つく言動を浴びたり、非人道的な扱いを継続的に受けることも含まれています。

そのような結果、記憶力が乏しくなったり、ある場面を覚えていられなかったり記憶力に問題が起こることがあります。ひどい場合は、記憶も人格もバラバラになってしまい、解離(dissociation)することもあります。また本来抑制的に働く部分が過度に覚醒され、ある感情を抑制することが難しくなってしまうなどもあります。

このように社会活動に影響を及ぼす結果となることがあり、一見心理的に問題のない人であってもトラウマによる脳のダメージによって、社会生活に問題を抱えてしまう場合があると思います。また発達障害と言われている人の中にも、トラウマが本当の原因である人もいるのではないかと思っています。

 

2.脳は回復する

もう1つ驚きなのは、その損傷した脳は「回復する」ということです。

カウンセリングなどでトラウマを扱い、トラウマを克服した人たちの脳画像を比べた研究結果があります。それによると、トラウマとなる体験をして脳が損傷したり委縮した場合でも、カウンセリングによって回復していた結果が出ているといるのです。

これは、「心の傷は治る」ということに対する大きな希望であり、研究でも示されているカウンセリングの効果でもあります。

 

3.トラウマを越えた成長(Post-Traumatic Growth

そしてもう1つ私が好きな考えがあります。

それは、トラウマを乗り越えた先にある、「個人の成長(Growth)がある」という考えです。これはただ単にトラウマを経験した前の自分に戻るというレベルではなく、考え方・生き方・感じ方など様々な面において変革があり、トラウマとその癒しを通して、その人自身の生き方が変わることです。そして新しい意味を人生に持つことができることです。

トラウマは、悲惨で悲しい事実です。起きた事実を消すことはできません。起きて欲しくないことであり、起きるべきではないことです。

しかし、それを乗り越えたところには、それまでとは違った世界・・・より深遠で、より愛や感謝を感じられる・・・そんな世界が広がっていきます。私自身も経験からそのような世界があると思っています。

 

日本には「金継ぎ」という伝統の技があることを、去年の夏にアメリカ人の教授が教えてくれました。

これは、お皿や茶碗などの割れたり欠けたりした部分を、漆で接着して、金で装飾する修復法だそうです。欠けたお皿や茶碗が修復された後、それはもとの形ではなく、全く新しいデザインに生まれ変わります。それは金の模様が絶妙に埋め込まれた、「その皿独自の」、「新しい」、「美しい」デザインとなります。

 

トラウマによって、自分が壊れてしまった、もう2度と修復することなんかないと思ってしまうかもしれません。そのぐらい強力なものだと思います。しかし、そのような自分にさえも向き合い、1つ1つの壊れたピースを埋めていく作業をしていく時、私たちは「私たち自身独自の」、「新しい」、「美しい」姿になっていくのだと思います。決してただ壊されたものだけが残るのではなく、そこからより深く、温かく、美しいものが生まれていく世界があると思います。

 

それは厳しい冬が終わって黒い枝から咲く桜のように、温かく、優しく、柔らかいものだと思います。

 

温かい春をお過ごしください。

 

tomo